ほんとのほんと

一浪&三留したアラサーダメ人間が社会と自分とのギャップに半笑いで半ば諦めながら立ち向かって(?)ゆくブログ。  精神年齢は最近19歳になった。

一人暮らしの娘の家に父が泊まりに来た話

夏が終わる。

せっかくなので今週のお題特別編「はてなブログ フォトコンテスト 2016夏」に投稿し、わたしもこの夏の思い出を記録しておこう。

……と思い、スマホのフォトフォルダを開いてみたものの。なんとこの7,8月で撮った写真はラーメンの写真が一枚あるきりである。

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(ちなみに品川の初代けいすけの「とんとろ炙りチャーシュー黒極み」。竹炭が練りこまれた黒味噌ラーメン。不思議な酸味があると思ったら山椒だったらしい。濃いスープでおいしかった)

しかもこのラーメンはおひとりさまである。

 

なにかないのか、わたしの夏の思い出は。必死に思い出す。写真がないならスケジュール帳はどうだ? スマホアプリを開き、ページをめくる。が、しかし、なかった。海も山も、お祭りも、ひと夏のアヴァンチュールも、夏っぽいことはなにもなかった。

わたしは2016年の夏を無駄にしたのだろうか。忍び寄る三十路の影に怯え暮らす日々だというのにこんな無駄を己に許していいのだろうか。いやしかし待てよ。夏は思い出づくりをするもの、旅行に行くもの、懐かしい人に会うもの、だなんていったい誰が決めたのだ。わたしは乗らないぞ、そんな世間のよくわからない空気には。

 

そんなわけで今日も今日とておひとりさまライフである。

お盆は実家に帰らなかったのかというと、その通り帰らなかった。とはいえ父と友人がそれぞれ別の日に泊まりに来たので、さみしい人間なりに充実した夏休みを過ごしたつもりでいる。そりゃもちろん、友達と海外に行ったの☆とか、彼氏と海でデートした♡とか、子連れでキャンプしたんだ♪っていう人たちには人間として圧倒的に負けているけど、なんというか、「わたしなりに」、ね、充実したのだ。わたしなり、わたしなりに……。リア充ぶって背伸びしたりしない。スローライフ万歳。

 

 

ちなみにうちは、一人暮らしにしてはそこそこ広めの1LDKなのでダディが泊まりに来ても平気だ。

父は遊びに来たわけではなく、東京で法事があったついでに我が家まで来ただけなのだが、わたしは長旅で疲れている父をきれいな部屋で迎えることができずに、着いて早々掃除を手伝わすという親不孝っぷりを発揮してしまった。こういう生活上のあたりまえのことがきちんとしていないと気が済まない父は、掃除が一段落したところで家具の少なすぎるわたしの部屋を見渡し、今度は棚を買うと言い出して一人ホームセンターに行ってしまった。

それを、いったい何日分あるんだかわからない洗濯物をのんびりたたみながら待つわたし。これが単身赴任の父とその家に遊びに行った娘、ならわかるが完全にあべこべである。

 

その日は近所の焼肉屋さんに食べに行き、翌日、朝。

「なんか行きたいとこある? ないなら帰るけど」

と言い出す父。

えっ、もう? それはさすがにさびしい。せっかく来てもらったのに。しかし東京なら落語でも美術館・博物館でも、父と一緒に楽しめそうなものがたくさんあるが、この田舎町にはそういうものがない。困った。これが母や妹なら、とりあえず買い物行って、とりあえずパンケーキとか食べてれば楽しめるのだが、オトンとパンケーキ食ってもな……。

そこでふと近所に打ちっぱなしゴルフの練習場があるのを思い出し、我々はそこへ行くことにした。わたしは人生初ゴルフである。

 

わたしにはいささか短すぎるような気のする女性用のクラブをレンタルし、いざスイング。父に教えてもらいながら狙いを定めて打つのだが、ボールは止まっているくせに全然打てない。空振りが続いてようやく当たったと思ったら右へ左へ、あるいは真下へ。よくわからない方向へばかり飛んでいく白いボール。しまいには隣の隣で練習していたおじさんに「ボールがあちこち飛んで危ないよ。お嬢さんにはまだ早いんじゃないの」と言われる始末。まじか。

他人に言われると羞恥心と反発心とでムキになってしまい、黙々と打ち続けてなんとか3分の1くらいの確率でだいたいまっすぐ70ヤードくらい飛ばせるようになるころには手の皮が少しむけていた。

帰るとき、隣で練習していた別のおじさんがにこにこと、「これに懲りずに練習しなよ。そのうちお父さんとコースに出られるようになるから」と言ってくれた。そんな日が来たらいいなと思った。

 

いったん部屋に帰って少し涼み、お昼はちょっと高めの回転寿司でたらふく食べた。父はせっかくだからともう一泊していってくれることになり、翌朝、目覚ましの変な音で目が覚めて、目覚まし時計買い換えたほうがいいんじゃないのと父が言い、ああそうなんだよね、こないだも寝坊して、と言いかけたところで本当に目が覚めた。

昼下がりの明るい部屋は、少しクーラーがきいていた。

父が用もないのに2泊もするわけがなかった。寿司を食べた後すぐ帰っていったのだ。

父を駅まで見送り、わたしはひとりぼっちでうちに帰り、そのあと炎天下に出かけた疲れが出てうたた寝をしてしまっていたらしい。

 

振り返ると、散らかっていたものが全部片付いて部屋はとても広々としていた。一人暮らしにはちょっと広いよな、とぼやきながらわたしは、自分でもびっくりするくらい寂しさを感じていた。