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ほんとのほんと

一浪&三留したアラサーダメ人間が社会と自分とのギャップに半笑いで半ば諦めながら立ち向かって(?)ゆくブログ。  精神年齢は最近19歳になった。

借り物

就職してしばらくの間、自分の声が外側から聞こえてくるようで気持ち悪くなることがちょくちょくあった。

水の中からくぐもった音を聞いているような、妙な感覚。

口が勝手に開いてすらすらとしゃべっている。

まるで20代の模範的な、あるいは典型的な女性のような、だれだこいつ、と思いながら、口を閉ざすわけにもいかないし、そんなことをしたらただのメンヘラだし、仕方ないから表面を取り繕って取り繕って、笑っていた。笑っているのが誰なのかも、よくわからなくなった。

 

毎日がまるで借り物のような生活だった。

誰の人生なのだろう、これは。

そう思いながら通勤路を歩いていた。

立ち止まって考える必要もなく、毎日は勝手に過ぎていった。

 

最近はそんなふうに感じることは減ってきた。一時的なものだったのか、あるいはいつかまた戻ってしまうのかはわからないが、ともかく借り物の人生を歩いているような感覚をひしひしと感じて自分の意志では動けない無力感に苛まれることはここ数か月、少なくなった。

 

自分の意志でアクセルを握ることができ、そうすればちゃんと反応してスピードが上がる感覚。

わくわくするのも、苦しんだりするのも己次第で、人生を取り戻したような。しかしどういうわけか寂しくもある。どうして?

 

これはひょっとすると、「借り物」のほうに乗っ取られたのではないか。

なすすべがないまま「借り物」が勝手にしゃべったり笑ったりしているのを傍観しているうちに、そっちが本体になってしまったのじゃなかろうか。

だとすると「借り主」だったあの子はどこへ行ったのだ。

 

もしかして消えてしまったのだろうか。

彼女はもう帰ってこないのだろうか。

それとも、今もどこかで、乗っ取ったわたしをなすすべなく眺め、寂しさに打ちひしがれながら、絶望感にすべてを諦めてしまっているのだろうか。