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ほんとのほんと

一浪&三留したアラサーダメ人間が社会と自分とのギャップに半笑いで半ば諦めながら立ち向かって(?)ゆくブログ。  精神年齢は最近19歳になった。

有給をとって仕事する話

仕事

唐突だが、うちの係は仕事が暇である。

 

わたしがいなくても問題なく仕事が回りそうだなあと思いながらいつもデスクの前に座っている。

ここに就職する前にやっていたバイトでは、のんびりできる時間と緊張感にあふれた時間のメリハリがとてもはっきりしていたものだが、ここではずうーっと、うすーい時間がゆるゆる流れている。

 

もしかして暇なのはわたしだけで、あとの係員はとても忙しい……?

 

と、悩んだりもしたけれど、そういうわけでもないようだ。

というのも、わたしと同じく今年からこの部署にきた先輩の行動が、仕事に追われている人がとるものではないからだ。

 

ちなみに、このあいだの記事で書いた、とても気の利く先輩とはまた別の人である。

(気の利く先輩の話: 上司が仕事をしている隣では昼食をとれない話 - ほんとのほんと

 

今回登場する先輩は、それほど他人に気を遣うタイプではない。

じゃあダメな人かというと、その逆である。

能力があるから周りに気を遣わなくても仕事それ自体で信頼を得られる人だ。

教養があって頭の回転も速いから話をしていても面白い。

自信があるからこそ我が道を行けるタイプの人である。

 

 

その先輩と二人で話していると、夏ごろまではよく「前の部署に戻りたい」とぼやいていた。

前の部署では、自分のやりたいことをやらせてもらえ、能力や知識を生かして存分に仕事をしてそれで認められていたようだ。社内のいろいろな人が先輩のことを知っていて、「あの人は本当にすごいよ」と口々に褒める。

先輩自身も「毎日残業だったけれど、ぜんぜん苦じゃなかった」と言う。

 

その部署に7年もいた。部署と先輩は相思相愛だったのだろう。

しかしそれでもジョブローテーションを行うのがうちの会社なのである。

おそらく数年後にはまたその部署へ戻るのだろうが、それにしてもこんな関連性の薄い部署へ異動させるとは、人事はどういうつもりなんだろうと首をひねってしまうような人事異動で、ともかく先輩はうちに来た。

 

非情にも愛する仕事との仲を引き裂かれた先輩は、情熱の置き場を失って「こんなとこにいたら脳みそ腐っちゃうよ」と冗談交じりに笑っていた。

そしてしばらくすると、先輩はものすごい勢いで有給を消化するようになった。

前の部署ではほとんどとったことがなかったという休みを、月に2日くらいのペースで。

 

休んで何をしているのかは完全に謎だった。

自身の仕事はキッチリやっていて周囲には何も支障がないため誰もつっこまないし、「脳みそ腐っちゃう」ような場所でダラダラするくらいなら家でちゃんと休んだ方がいいんだろう、くらいにわたしも思っていた。

 

 

しかし。

どうやら違ったらしいのだ。

 

 

今日その先輩と出張だったのだが、帰る際、「ちょっと○○寄っていい?」と先輩はうちの会社の関連施設の名前を挙げた。ちょうど帰り道の途中にあるため、いいですよ、深く気にすることなくわたしは答える。

 

そしてその施設に到着すると、先輩は中のスタッフと一緒に資料を開きながら何やらマニアックな話をはじめた。

まったくついていけない。わたしたちの部署の仕事の話ではない。どうやら、先輩が前いた部署に関連する話のようだが……

 

帰りの車の中で聞くと、先輩が前にいた部署の仕事、というわけでもないらしい。

「ただ、社内で他にできる奴がいないから俺が手伝ってるだけ」

とのこと。

自分の業務とは関係なく、本当に個人的に、技術的なアドバイスなどを行っているという。

 

「俺けっこう頻繁に休み取ってるでしょ? あれ実はこの施設の見学とかに来てるんだよ」

という。

「えっ、そうなんですか!?」

「まあ本当にプライベートな用事で休んでることもあるけど、だいたいはコレのためだね。俺が見学させてもらうとこって結構熱心なスタッフさんがいるところで、面白い取り組みしてたりして見てて楽しいよ。ああこんなやり方があるのかーってことが多くて」

 

先輩は楽しそうに話し始めた。

わたしはただ目をまるくしてそれを聞いていた。

 

仕事を休んで、やりたい仕事をしている……?

 

感動してしまった。

先輩は、引き裂かれたはずの愛を情熱で貫いていたのだ。

 

と同時に、わたしは肺の中が焦りで急激に冷えてくるのを感じた。

 

先輩に引き換え、わたしは何をやっているのだろう。

 こんなつまらない仕事、わたしがいなくたっていいじゃないか

そんなことを考えながら、その実、出来ることを何も探してない。残業もほとんどないのに、家に帰ってもだらだらするだけだ。

いいんだろうか、このままで。ここでうすい時間を過ごしているだけでは、何も身につかないかもしれない。

でもわたしには、やりたいこともできることも何もない。ここで何を頑張ればいいのか、どんな社会人になっていきたいかもわからない。

 

将来が不安になる。ひとつも出世しないで漫然と歳だけくってく未来が見える……。

 

有給をとってまで自分のやりたい仕事をする。  組織にとってみればそんな個人プレーはあまり望ましくないのかもしれないが、そこまでしてやりたい仕事があるってすごいことだ。

人によっては一生そんなものは見つからないかもしれない。

わたしはいつか見つけられるだろうか? 

どうしてもこれがやりたいと情熱を傾けられるような仕事を。

 

今のわたしにとって未来はまだ、靄がかかっていてちっとも楽しそうに見えないけれど。。。