読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ほんとのほんと

一浪&三留したアラサーダメ人間が社会と自分とのギャップに半笑いで半ば諦めながら立ち向かって(?)ゆくブログ。  精神年齢は最近19歳になった。

上司が仕事をしている隣では昼食をとれない話

こんばんは、しゅうです。

 

今日こそは余裕をもって家を出られるぞと思っても、なぜかいつもギリギリになるのはわたしです。

……なぜだろう。

 

 

さて、今日のお昼の話なのだが、12時ちょっと前くらいに打ち合わせから席に戻ってきた上司が、戻るなり電話を掛けはじめた。12時を過ぎても話し込んでいる。

片耳で話を聞いて、フォローできそうであればするけれど、「あーそうですか」「いやー大変ですね」ばかり繰り返していて、なんの話だかさっぱりわからないのでお昼を食べることにした。

 

本日は手製のお弁当。安月給なので、極力弁当を作るようにしている。

きょうのおかずは大根の煮物(晩御飯の残り物)と冷食3品。

 

大根うまいな! 冷めているのになんでこんなにおいしいんだろう!

 

と自画自賛しながら味の染みた大根をかみしめているとき、ふと前の席の先輩が自席でじっと座ったままぼんやりPCを眺めているのに気付いた。

 

出前でも待っているのかな。

 

うちの部署では昼食に出前を取る人が多いのだが、ときどき、12時を過ぎてもなかなか来ない店もあるのだ。きっとそれを待っているのだろう。可哀相に。

 

先輩、最近奥さんの愛妻弁当持ってきてないこと多いからなあ。

 

マイホームを新築して引越ししたてで、家が忙しいらしいのだ。

わたしはさほど気にせず大根をほう張り続けた。

 

 

わたしがすべて食べ終えて弁当箱をしまっていると、上司はようやく電話を切り、やれやれとどこかへ行ってしまった。

それを見届けた先輩が、そろそろとデスクの下から取り出したるは……なんと愛妻弁当である!

 

わたしはそれを見て感動してしまった。

先輩は上司の仕事が終わるのを待っていたのだ。

目上の人が仕事をしている前で食事はとれないと思って。

 

こういう所がこの先輩のすごいところだ。

 

この先輩の世渡りのうまさには定評(?)がある。

なんでもお父さんが大変厳しい人であった上に、さらに家には二人のお兄さんたちがいるという、敵わない相手ばかりに囲まれた環境で生きてきたおかげで、空気を読むすべは完璧に身に着けているとかなんとか。

 

人当たりがよく、周囲の人から「実は腹黒いよね(笑)」と揶揄されもするけれど、その場にいる人が不快に思うことは絶対言わないし、上司のジョークが笑えなくてわたしが返しに困っていても、先輩はうまく盛り上げることを言う。

 

わたしは先輩と二人で外出することも多いが、そういう時はいつもいろいろ話を聞いてくれ、些細なことにも笑ってくれる。たまにわたしが「これ以上話題探すのめんどくせーな」と黙ってしまった時も、必ず先輩がなにかしら話を振ってくれるのだ。

 

部長や課長が外出するときに、運転手役で呼ばれるのも、いつもきまってこの先輩だ。

他にもうちの部署には若手がいるのに。

 

きっとそれはこういう小さいことの積み重ねなのだ。

先輩は就職してからの10年間、こんなことをたぶん何万個も積み上げてきて、それを信頼という武器に変えているのだろう。

 

いやあ、すごいな、真似できない。

逆立ちしたって、わたしは先輩のようにはなれない。

 

わたしは、昔から気が利かないと言われ続けていた。

 

たとえば、子どもの頃。家族団らんでなんとなくみんなでテレビを見ているとき。

あ、お茶飲みたいな、と思って一人でキッチンへ立って自分のグラスを持って戻ってくると、「どうして“みんなもお茶飲む?”って聞いてくれないの!?」と母から怒られるということがたびたびあった。全く同じシチュエーションで、何百回も。いや、何千回かも。まてよ、一万回越えているかもしれない。

それでも直らなかった。

 

別に嫌がらせで自分のお茶だけ注いでいるのではない。

本当に気付かないのだ。他の人もお茶を飲みたいかもしれないということに。

 

飲み会でもみんなのサラダを取り分けられなくて何度となく気まずい思いをしてきた。飲食店でバイトをすれば、その場に合った取り皿をお出しできずに「気が利かないねえ!」とお客さんから怒られ、店長に怒られ、この「気が利かない性格」のせいでずっと嫌な思いをしてきた。

 

治そう、治そうと、何度悩んだことか。

それでも治らない。わたしは気が利く素敵なお嬢さんにはなれなかった。

こんなのでは一生誰からも信頼してもらえそうにない。ひとりで孤独に死んでいくのだ。

 

孤独なわたしは先輩が異次元の住人のように見える。

きっと生まれた時から気の利く赤ちゃんだったに違いない。

だからマイホームも建った。

マイホームなんて、気が利く素敵な大人じゃないと建てられるわけがない。家なんて建てたら、もう逃げ場がなくなるからだ。わたしには無理だ。逃げ場がなくなっても生きていけるのは、信頼を勝ち得ている人だけだからだ。

 

 

……仕事する上司の横でご飯を食べるか食べないかで、人生はこんなにも違うものになるのだなあ

 

食後に自分ひとり分のコーヒーを入れてすすりながら、人生についてしみじみ考えた。